塗装依頼される際、色は5Y7/1 半艶でとか言われることが多いかと思います。(ちなみに、5Y7/1という色は制御盤・配電盤等に多く使われている色です。)ただここで、勘違いされている方が多くいらっしゃいます。5Y7/1という色を塗料メーカーが持っていると思っていませんか?実は、それは間違いです。例えば、我々“塗装屋”が塗料を発注してから、塗料メーカーは調色するのです。何故塗料を入手するのに1週間も掛かるんだろうと疑問に感じていた方も多いかと思いますが、こういう理由からなのです。
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マンセル値(記号)とは
先に述べた5Y7/1、これがマンセル値(記号)です。色を表す記号です。それでは、5Y7/1(5ワイ 7 パーの1)に関し、細かくご説明いたします。
5Yは色相、7は明度、/は区分け・便宜上、1は彩度を表します。
ここでは明度、彩度は無視してください。また、5Yの5も無視しましょう。Yにだけ注目してください。
Yはイエローの略だと考えてください。
それから、Rはレッド、
Bはブルー、
Pはパープル、
Gはグリーンの略です。非常に乱暴なご説明にはなりますが、10B5/8というマンセル値(記号)を見て、何となく想像が付きますよね。青系です。ちなみに、10YR6/14という“合せ技”もあります。Y(イエロー)とR(レッド)の合体形。黄色と赤でオレンジ系となります。
ただ、このマンセル値(記号)はなかなかの“曲者”です。同じ5Y7/1で発注したのにその度に微妙に色が違うということが平気で起こります。それは、受注の度に塗料メーカーが調色をしているからというのも一つの理由です。また、各塗料メーカー毎に調色をする際の原色の“色あし”が違うからとも言えます。しかし、これ以上深くお話しする必要はないと思います。暴論ですが、マンセル値(記号)はおおよその色しか表さないとお考え下さい。次に、色違いを防ぐ一つの方法についてお話しします。
日塗工の見本帳について
例えば、K25-70B(5Y7/1)という記号を見聞きしたことはありませんか?これは日本塗料工業会(日塗工)が定めた塗料用の標準色を網羅した2年に一度発行される色見本帳の中の色番号です。日本塗料工業会が2年に1度、その時その時使われている多くの色の中から代表的な色を選び見本帳として発行しているのです。現在2020年は、2019年度版(K版)が最新です。K25-70Bの頭のKは版数を表しています。これまた暴論ですが、マンセル値(記号)での色のご指示より日塗工の色番号で色のご指示を頂いた方が色違いは少ないです。
詳しくは https://www.toryo.or.jp/jp/color/standard/2019K.html
色の管理について
それでは、色を管理する話に進めます。色を指定して塗装を発注する際、先のマンセル値(記号)、あるいは日塗工の色番号での指定でもおおよその色は指定できます。機械ごとの色指定であればこれでも十分です。
ただし、ある大手機械装置メーカーがこの部分はA社、この部分はB社に塗装を発注し、最終的には大きな機械装置になるとしましょう。この時、部分、部分で色が違うというのはあまり良くはないですよね。あえて、色分けする場合を除いて。そこで、色を管理する、色を統一する必要性が発生します。ここでは、その色を統一する方法についてのお話しをします。機械装置メーカーごとにその統一方法は異なりますが、いくつかご紹介します。
統一方法1.
機械装置メーカーが塗料メーカーに塗料を一括発注し、塗装を発注する際、塗装業者に塗料を支給する方法。
統一方法2.
機械装置メーカーが塗料メーカーと取決めをし、塗装を発注する際、その取決めに拠った色番号等で塗装業者に指定をする方法。
統一方法3.
3-1.機械装置メーカーが規格(基準)を作成。
ここで、許容する色の差(色差)を規定する。数値化の必要性が発生。
例えば、⊿(デルタ)E 1.5以内
3-2.機械装置メーカーが基準として、色見本を作成・配布
*色見本の有効期限を2年としている機械装置メーカーが一般的
当社が所有する色差計
(コニカミノルタのホームページから借用)